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きくまるブログ 不動産のあれこれ

建築計画概要書と検査済証

投稿日:2017年4月18日 更新日:

一般的には不動産の売買というと、一生のうちに何度もするものではないので、不動産の知識や言葉にはわからないことも多いと思いますが、ものすごく大事なことがいろんな言葉や知識の中に埋もれてしまわないように、

建築計画概要書

検査済証

についてちょっと書いてみたいと思います。

まず「建築計画概要書」の説明です。

土地に建物を建築する場合、材料がそろっていたとしても勝手に家を建ててはいけません。まず建物の計画を役所に提出しなければなりません。役所は建物が安全な建物かどうかどんな使い道なのかをチェックします。もしも、法律に合わない建物の計画であれば、オッケーしてくれません。

たくさんのチェック項目がありますが、ここでは項目については説明を省かせていただきます。

「建築計画概要書」は、その申請された建物の計画概要を保存したものです。保存してあるということは、「建物を建ててもいいですよ」とオッケーを出したときの証拠なのです。そして、その概要書にはほんとに概要だけが書かれています。

現物はこんな感じのものです。

これは裏表のタイプのものですが、オモテには建築主、設計者、施工業者(予定)が書かれてあり、加えて、敷地面積、建物の計画面積、高さなどが書かれています。

内容の細かくは覚えなくてもいいのですが、まず建築確認番号と日付があることを確認します。(ないわけはないはずですが)

そして、大事なのは敷地面積と建物面積です。

敷地面積は、登記簿の面積ではなく、建ぺい率・容積率を計算するもとになる敷地面積です。登記簿の面積と必ずしも一致しません。

とくに、前面道路が4mに満たず、建築の際にセットバックをしないといけない場合、建築計画概要書での敷地面積は、セットバックしたあとの面積になります。登記簿にはセットバック前の面積が記載されていても、建築計画概要書にはセットバックして減った面積を書くのです。

そして、建築計画概要書に記載されている敷地面積をもとに建ぺい率と容積率を計算するのです。その図面がこの概要書では裏面に書かれています。小さくて見えないと思いますが、ここにはセットバックをする予定の図面が記載されています。

では概要書についてはいったんここで置いておきまして、

次に「検査済証」です。

検査済証は、建築が完了してから、役所が申請されていた計画通りに立てているかどうかを検査するものです。

ですから、建築計画概要書とものすごく深いかかわりがあります。計画通りに建築されていなければ検査済証は発行されません。

一般の消費者の方は、検査済証はあって当然と思われている方も多いのですが、ひと昔前の特に昭和の時代の物件は、検査済証のない物件がとても多くあります。それはなぜか。

めんどくさい。費用が掛かる。検査済証がなくてもローンが借りれた。

様々な理由がありますが、検査済証は建築主(施主)が役所に「検査をしに来てください」と申し込まないと来てくれません。そして、来てもらって検査してもらうのに費用がかかります。

検査済証がなくても住宅ローンは借りれるし(その当時は借りることができた)、建物の登記もできるし、なぜ検査を受ける必要があるのか。きっとそんな発想だったのだと思います。かりに検査済証がなかったとしても、あまり困ると思っていなかったのでしょう。

しかし、最近では耐震に対する意識も高くなりましたし、法令順守の風潮も強いです。銀行も違法建築の物件には融資しなくなってきました。(全部の銀行ではありませんが)

では、検査済証がないと何が困るのか。

例えば、建築計画概要書で説明したセットバックについて。セットバック済みであるかどうかを確認する手段の一つとして、検査済証があります。建築計画概要書ではセットバックの図面が記載されていて、検査済番号が発行されていれば、セットバック済みであるということがわかります。そして、セットバック済みの敷地面積で、建ぺい率・容積率が計算され、それも合法であるということが検査済であるということがお墨付きとなるのです。

ところが、建築計画を提出する段階では「セットバックします」と申請していたのに、実際にはセットバックせず、建物を完成させ、完了検査も受けずにそのまま引き渡されているケースがあるのです。「そんなことが本当にあるのか」と思ってしまいますが、実際にあることなのです。

本来セットバックすべき場所がカースペースになっていたり、玄関までのアプローチになっていたりすることもあります。

そして実際に困るケースというのは、いろいろとありますが、

○中古物件で次回に建て替えするときに、現在ある建物よりも大幅に小さくなるケース。(セットバックして敷地面積が少なくなる)

○違法建築と判断され、住宅ローンが使えないケース。(例えば建築計画では2階建てになっているのに、屋根裏を作って3階建てになっている等)

○形が全然違う(長屋形式で建築申請していたのに、一戸建てになっている)

等です。

買主にとってメリットのあるものはここには一つもありません。買主にメリットがないということは、売却するときにも困るわけで、売主にとってもメリットがありません。

土地面積と、建物面積と間取りではものすごく魅力的であったとしても、住宅ローンが借りれない物件の場合、購入できる人は限られてしまいます。なかなか売ることができなくなると値段も下げざるを得ないかもしれません。

逆に、きちんと検査済証がある物件であれば、そういった心配が一気になくなるわけです。最近では検査を受けないと住宅ローンが使えないため、ほとんどの建築事業者は検査済証をとれるようにしてくれていますが、中古一戸建ての場合はまだまだ検査済証のない物件が多いです。

中古の物件を検討するときの、一つの要素として、「検査済証の有無」はとても重要です。

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