親族間売買というものは住宅ローンが通りにくいです。
なぜならば、銀行は親族間売買の売買契約書をなかなか信じてくれません。親族間売買は不正をしようと思えばできてしまうからです。売主と買主が共謀して、実態と違う書類を作ろうと思えば作れてしまうからです。
ですから、銀行に相談に行っても、
「親族間売買では住宅ローンが使えません」
と言われることがあります。
私が以前に勤めていた会社であれば、グループ企業に銀行があり、店舗ごとに専属の担当者がいたので、担当者に相談すれば、そこそこ難しいローンでも何とか通してくれていました。それでも親族間売買はダメと言われます。
以前に、ある銀行で親族間売買に住宅ローンをつけてもらったことがあったので、実際に最近になってお客様から相談があった、親族間売買の案件をその銀行に持ち込みました。
以前、務めていた会社は超大手だったので、社名を名乗るだけで銀行は丁重に扱ってくれていましたが、独立して全く名もない会社になったので、銀行に電話をすると、初めて聞く名前の不動産会社には結構冷たいものです。
でも、以前勤めていた時に取引をしてもらった支店の担当者の方は、私の名前を覚えてくれていたので、
「あの時の中村さんですか」
という感じで、とても親切に応対してくれました。
さすがに初めて今の会社名を名乗った時には「どこの不動産屋?」という空気が漂っていたのですが、私のことを認識していただいてからは、ほんとうに親切にしてくれます。
しかも当時の名刺も置いてくれていたみたいで、それを言ってくれた時には本当にうれしく思いました。
最近の銀行の住宅ローンは、住宅ローンセンターで受け付けて、融資の実行を支店で行うことが一般的ですから、支店の担当の方は融資の事務手続きをするだけ、ということが多いので、自分の名刺を事務の方に(特に女性が多いです)渡すタイミングは少ないかもしれませんし、事務の方から「名刺をください」と言われることもあまりないと思います。
でもその当時に、私から確か名刺交換をしたのだと思いますが、先方も名刺をくれまして、私もその名刺を保管していました。
大きな看板の会社に勤めていると、取引先が丁重に扱ってくれるがために、傲慢になって、名刺すら切らないということも、きっとよくあるのだと思うのですが、私自身が「会社の看板を鼻にかける」人を毛嫌いしていましたので、自分はそうならないようにと努めてきたつもりです。
その当時の自分の行動が、今になって功を奏したので”因果応報”だなあと思ったのです。
小さな会社をおこして、大手の看板がなくなっても、私とお付き合いしてくれる人が今でもたくさんいることに、ほんとうに感謝しています。
言葉にすると少し恥ずかしいですが、”一期一会”とか”因果応報”とか”情けは人の為ならず”などの言葉を常に忘れずに、いろんな人と知り合っていけたらと思います。