「西宮市の地域情報、新発見、その他」by きくまる

西宮市の物件調査のついでに発見したこと書いていきます。また私を知っていただくため、思いつくままに書き綴ります。

きくまるブログ 不動産のあれこれ

契約成立時期のはなし(再)

投稿日:2017年3月23日 更新日:

先日、投稿してすぐに削除した記事があります。投稿内容が間違っていてはいけないと思って、いったんすぐに削除しました。しかし、あれこれと調べているうちにいろいろと分かってきたので、再度投稿いたします。そして、追記いたしますので、よろしければ最後までお読みください。

【↓↓↓↓↓ここから投稿した記事↓↓↓↓↓】

今日たまたま以前の会社の後輩から相談を受けました。

「土地の売買で、昨日契約手続きをしたけれども、ちょっとしたトラブルが発覚し、どうすればいいのかわからない」

という相談でした。

話をよく聞くと、いわゆる「持ち回り契約」で昨日買主が売買契約書に署名と捺印をして(売主は事前に署名捺印済み)手付金は週明けの平日に振り込むことになっていたそうです。日付も買主が署名捺印した日付が入っています。

この場合は実務的にはどう判断するべきかですが、本来は「売買契約書の署名捺印」と、「手付金の授受」は同時でなければいけません。一般的な売買契約書には書いてあるはずです。

買主は売買契約と ”同時に” 売主に手付金を支払います。

これが通常の形です。しかし、今回の後輩のケースのように、書面だけを先に交わして、手付金を後に振り込むというのは、実際の取引では全くないわけではありません。そして日にちがずれるのは、そこに何かしらの事情があったと考えます。それが売主の事情なのか、買主の事情なのか、また仲介業者の事情なのか、それはわかりませんが、本来であれば手付金が準備できた段階で一同に対面して、売買契約を交わすのが一般的です。

そして後輩からの相談というのは、書面を交わしたけれども、このまま契約を進めていくことができない状態になってしまったのでどうすればよいのか、という相談でした。その理由を私も聞きましたが、このまま進めない方がいいと思いました。

私が思うに、今日の時点では、買主は売主に手付金を支払っていません。ですから、書面を交わしていたとしても、法的には「契約が成立していない」とみなすべきだと思います。

「契約はまだ成立していないから、仮にいままでの商談はなかったことにしてほしいと言ったとしても、ペナルティは課せられない。」ので、

「商談を白紙にしてもらいなさい」

とアドバイスをしました。すると彼は、

「売買契約書に特約がありまして、『手付金は●月●日に買主が売主の口座に振り込み、振込手数料は買主の負担とする』と書いてあるのです。どうすればよいでしょうか」

と言います。しかし、そもそもこの相談のポイントとしては、『契約の成立時期』だと思われます。

  • 書面は交わした
  • 手付金の授受はまだ行なっていない。
  • 特約に後日振り込みの文言がある

というところで契約を成立したとみなすかどうかなのですが、売主は成立していると主張し、買主は成立していないと主張をし、お互いが譲らない場合は、弁護士さんに相談して、契約が成立しているのか成立していないのか、裁判するかどうか、という話になりますが、私が思うに手付金を受け取っていない以上、契約が成立しているというのは無理があるように思います。

また「後日振り込み」の文言が特約にあったということですが、そもそもなぜそのような特約を入れる必要があるのか、というところに疑問が残ります。本来の形に立ち返って、お金が準備できた時点でお互いが対面して、契約書を交わし、手付金の授受を行なえば、その時点で契約が成立するので、仮にその後契約を破棄したいということになれば、互いにペナルティを請求できるわけです。

その契約書を作成したのも、某大手仲介業者のようですが、そのような特約を普通に入れていることに少々びっくりしました。つまり買主が手付金を準備できるまでの間『売主が買主に手付金を貸します』ということを、契約書に証拠として残すようなものです。売主さんが一般個人の方だったので法的には問題ないのかもしれませんが、もしも売主が不動産業者ならば「手付貸与」で宅地建物取引業法違反です。仲介業者としては、そのようなトラブルのもとになるような特約は避けるべきだと思いますし、どうしても先に書面を交わさないといけない事情なのであれば、せめて売買契約書の日付は記入せず、署名と捺印だけにとどめておき、売主と買主には、

「売主さんが手付金を受け取ったことを確認できた時が、契約成立ですよ」

と説明をしたうえで、先に署名と捺印だけを済ませる方法をとるべきだと思います。

ですから、特約としては、

「買主は後日売主に手付金を振り込むものとし、売主が受領した時点で契約成立となります」

と入れるべきではないでしょうか。もしくは特約は入れずに、売主が手付金を受領した時点で売買契約書の日付を記入し、契約成立とするのが望ましいと思います。

また売主と買主の認識にずれが生じないように、どうしてもの事情がなければ「持ち回り契約」は避けた方がいいですね。

何事もなくスムーズに白紙に戻せればいいと思うのですが。また機会があればその後の話をご報告させていただこうと思います。

【↑↑↑↑↑ここまで投稿した記事↑↑↑↑↑】

というところまで書いていたのですが、投稿した時点で、司法書士さんに相談をすると、司法書士さんの見解は「契約成立」との見解を示されたので、いったん投稿を取り下げましたのです。

そして、後日弁護士さんに確認をしました。すると、ある弁護士さんは「契約成立している」、またある弁護士さんは「契約成立していない」との見解でした。

契約成立している弁護士さんの見解は、売買契約は諾成契約であるから、書面を交わした時点で成立している、との見解。

契約成立していない弁護士さんの見解は、手付金の交付は売買契約の重要な要素であるから、契約成立とみなすのは無理がある、との見解でした。

意見が割れてしまったので、結局のところどちらが正しいのかわかりません。

しかし、売買契約書に署名と捺印をされた場合は、手付金を交付していない場合であっても、契約成立しているとみなされる可能性が十分にあるということです。ですから、安易に書面を交わして、「お金は後日」ということは極力避けるべきだと思います。

または、書面を交わすということは金銭がその時点で動いていなくとも、契約行為をしたという認識を持たなければなりません。

お金が後になると、買う方はなんとなく少し不安を軽減されたような錯覚に陥ってしまいそうですが、契約行為は契約行為です。よくよくご注意をしていただければと思います。

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