中古の一戸建てを扱っていると、時々「未登記」の部分に出くわします。
未登記というのは、もともとあった建物に増築をして、その増築部分を登記していないものもあれば、結構多いのが”掘り込みガレージ”です。
「掘り込みガレージ付きの土地」も売土地で出ていたりしますが、掘り込みガレージは登記対象になります。
掘り込みガレージが登記してあるかどうかを確かめるには、法務局で発行される「建物図面」を見ればわかります。建物図面というのは、いわゆる販売図面に書いている間取り図面とは違い、登記面積を計算するために建物の寸法が書いてあるものです。
例えば、掘り込みガレージの上に2階建ての木造が立っている一戸建てだとすると、建物の部分の1階床面積、2階床面積の建物図面があるはずです。そして、地下1階部分として、掘り込みガレージの寸法が書かれた建物図面が存在します。(地下1階、1階、2階というケースと1階、2階、3階というケースもありえます)
ところが古い建物では、建物しか登記されておらず、掘り込みガレージ部分を登記していない時があります。
しかし、”固定資産評価証明書”をみると、木造の建物の部分の面積の合計よりも多い面積が書かれているときがあります。
これは、登記はないけれども、建物としては存在するとみなし、固定資産税を課税されているのです。この場合は、登記面積と、固定資産評価証明書の面積は一致しません。
ところで本題の住宅ローンですが、銀行も登記面積と固定資産評価証明書の面積をチェックします。または、建物図面の形と、現地の建物の形が一致するかをチェックしています。もしもそこに相違がある場合は、なぜその相違があるのかを調べます。
もしもそこで、増築未登記部分があった、もしくは増築ではないけれども未登記の部分があった、という場合には、
その登記を済ませないと、住宅ローンを実行してくれないということがあります。
その場合、登記をするのに余分に費用がかかるため、事前によく打ち合わせをしておく必要があります。
登記をする場合、まず表示登記というものをします。「その建物が存在します」という登記です。そしてその存在が誰の持ち物なのかという登記が、所有権の登記です。
本来は売主が売却を開始する際に、その所有権の登記まで済ませ、もともと登記のあった部分と一緒に所有権移転するのが本来の形ではありますが、その場合、
表示登記→所有権保存登記(売主)→買主へ所有権移転登記
という流れになり、登記が3回行われることになります。当然手数料や税金も3回分です。
もしも金融機関がオッケーしてくれるならば、所有権保存登記の際に、いきなり買主の名義で登記することができれば、
表示登記→買主名義で所有権保存登記
とすれば、登記手数料、登録免許税も1回分減ります。
あくまでも金融機関がオッケーしてくれる場合ですが。
それと、この手続きの順序について、売買契約書に明記しておく必要があります。
たとえば、
本物件建物の未登記部分については、引き渡し時までに(もしくは●月●日までに)買主名義で表示登記、所有権保存登記を行うものとし、その責任と負担については、売主(もしくは買主)の負担とする。
というように、これはあくまでも一例ですが。
住宅ローンを利用して購入される場合で、未登記の部分が存在する場合は、注意が必要です。